- テザー(Tether)って聞いたことはあるけど、いったい何?
- ステーブルコインって要するに何?
- テザーって会社?仮想通貨?
こんなお悩みを解決していきます。
こんにちは。あまねです。
仮想通貨の世界でよく耳にする「テザー(Tether)」について、この記事では、テザーの仕組みから使い方、保管方法までを初心者の方でもわかるように詳しく解説していきます。
テザーは、価格変動の激しい仮想通貨市場において、安定した価値を提供するステーブルコインの先駆者としての役割をもっていて、
世界中で3億5000万人以上の方が利用。2019年以降はビットコインを上回る取引量を記録してます。
テザー(USDT)などのステーブルコインに興味を持った方は、GMOコインなどの信頼性の高い取引所での口座開設を検討してみるのもいいでしょう。
目次
テザー(Tether)とは

テザー(Tether Limited)とは、米ドルと連動するステーブルコイン「USDT」を発行している企業のことをいいます。
以前は香港に拠点をおいていましたが、2025年に暗号資産に友好的なエルサルバドルの環境や政策を理由に、本拠地をエルサルバドルに移転しました。
現在、テザー社が発行するステーブルコインのUSDTは、時価総額では第4位の仮想通貨となり、ステーブルコイン市場全体の約60%という圧倒的なシェアをしめています。

テザーは「デジタル版の米ドル」を発行している会社なんですね。
テザー(Tether)の歴史

テザー(Tether)は2014年に香港でスタートし、短い間に暗号通貨市場における重要なインフラへと成長しました。
その成り立ちから現在にいたるまでの歩みを見てみましょう。
創設から発展までの歩み
テザー社の歴史は2014年から始まります。
創設者のブロック・ピアース、リーブ・コリンズ、クレイグ・セラーズによって
「リアルコイン」という名前で発表され、2014年10月6日にビットコインブロックチェーン上で最初のテザートークンを発行。
2014年11月までにCEOリーブ・コリンズの指導のもとで「テザー」として再ブランド化されたました。
テザーの成長は目覚ましく、2017年初頭にはわずか1000万ドルだった流通トークン価値が、2025年には1650億ドル以上へと急成長しています。
この急成長には、仮想通貨市場全体の拡大と、安定した取引手段への需要があったと言われています。
さらに近年では、米ドル連動トークンを超えて、ユーロ(EUR₮)、人民元(CNH₮)、メキシコペソ(MXN₮)などの通貨に連動した取り組みを広げています。
テザー社の組織構造と経営体制
テザー・リミテッド(Tether Limited)は、暗号通貨取引所ビットフィネックス(Bitfinex)を運営するiFinexが所有する企業になります。
完全に透明化されているわけではないですが、2023年の組織改編で最高技術責任者だったパオロ・アルドイーノがCEOに就任。
はっきりとした経営体制ができあがるとともに、最高技術責任者だったアルドイーノがCEOに就任することは、テザーが技術面を重視する表れと考えられました。
さらにテザー社は、ステーブルコイン事業とは別にAI、ビットコイン採掘、教育などへの投資を拡大しており、暗号通貨全体における影響力を高めています。
ステーブルコインとは

ステーブルコインは、法定通貨などの特定資産に価値を連動させ、1:1を維持することで価格の安定性を保つ暗号資産のことをいいます。
ビットコインやイーサリアムのような価格変動が少なく、比較的安定した価値を保つのが最大の特徴です。
テザー社の発行するステーブルコイン
テザー社は、さまざまな通貨や資産と連動したステーブルコインを提供していて、利用者のニーズにあわせた選択肢を用意しています。
テザー社が提供しているステーブルコインを見てみましょう。
テザー(USDT)とは
テザー社の主力商品であるUSDテザー(USDT)は、米ドルに1:1で連動した最も流通しているステーブルコインといわれています。
それは1USDTが約1米ドルの価値を維持するよう設計されており、この安定性がUSDTの最大の強みといえるからです。
またUSDTは、様々なネットワークでサポートされており、複数のブロックチェーンで利用することができ、ニーズに合わせたネットワークでユーザーは利用できます。
この柔軟性がUSDTの普及をさらに進めていて、主要な仮想通貨取引所で取引ペアとして使用されているんです。
ユーロテザー(EURT)とは
ユーロテザー(EURT)は、ユーロに連動したステーブルコインになります。
1EURTは1ユーロの価値を持ち、ユーロ圏のユーザーに安定した暗号資産を提供しています。
USDTと同様に複数のブロックチェーンでサポートされており、欧州の規制環境に対して設計されているため、EU域内での取引に活用されています。
テザーゴールド(XAUT)とは
テザーゴールド(XAUT)は、実物の金に裏付けられた独自のステーブルコインです。
XAUTトークンは1トロイオンスの金の所有権を表しており、価値保存手段である金の安定性と、ブロックチェーン技術の便利さをとり入れた商品になります。
その他のステーブルコイン
テザー社は主要な通貨だけではありません。地域性のあるステーブルコインも世界中のユーザーに提供しています。
CNHT(オフショア人民元テザー)は、中国のオフショア人民元に連動したステーブルコインです。
中国関連の取引を行うユーザー向けに人民元を基準としていて、アジア市場での利便性を高めています。
MXT₮(メキシコペソテザー)は、メキシコペソに裏付けられたステーブルコインになります。
2022年にラテンアメリカ市場進出のひとつとして発表され、
メキシコやラテンアメリカ諸国のユーザーに、自国通貨をベースとした暗号資産取引のきっかけを与えています。
これらの地域特化型ステーブルコインは、テザー社のグローバル展開戦略の一部であり、地域の経済ニーズに対応したサービスの提供と言えるでしょう。
テザー(Tether)の課題

テザーは暗号資産市場で大きな役割を果たしていますが、その歴史を通じていくつかの課題や論争に直面しています。
投資判断や利用を検討する上で、これらの問題について理解しておくことはとても重要と思われるので見ていきましょう。
準備金の透明性
テザーを巡る最も大きな論争は、準備金の透明性に関することです。
テザー社は、発行されるテザートークンが1:1で適切な資産(主に米ドル)によって裏付けられていると主張していますが、この主張を完全に検証するための監査は行われていません。
そんな中、2021年にテザー社は準備金の構成についてはじめて詳細な情報を公開しました。
ところが、準備金のうち現金または現金同等物での保有が2.9%。
大部分は商業用手形(CP)、社債、担保付きローン、その他の資産であることが明らかになり、株価や金利の変動で支払いが発生した場合に対応できるのかという不安が生じます。
その後、テザー社は準備金の構成を変更し、より安全な資産に移行を進めたと主張していますが、独立した監査がなされていないと言われ続けているのが現状です。
2025年現在、テザー社は四半期ごとに「準備金の証明(Proof of Reserves)」を公開しています。さらに準備金のほとんどは米国財務省の短期証券に保有されており、貴金属、ビットコイン、担保付きローン、その他の資産などにも少額の配分があるとしています。
訴訟と規制対応
テザー社は、これまでにいくつかの法的な問題と規制上の課題に直面しました。
最も注目された一つが、2019年にニューヨーク州司法長官がiFinex(テザーの親会社)に対して起こした訴訟です。
この訴訟では、Bitfinexが顧客資金の損失を隠すためにテザーの準備金を不適切に利用したという疑惑があがったのです。
これは2021年2月に和解に至っていますが、テザー社とBitfinexは誤った行為を認めることなく1850万ドルの罰金を支払うことに同意しています。
2021年10月には、別の重規制上の出来事として米国商品先物取引委員会(CFTC)がテザー社に4100万ドルの罰金を科しました。
これらの法的な問題と規制措置について、テザー社は透明性を出していますが、ステーブルコインに対する世界的な規制強化の中で、今後も課題に直面する可能性があります。
価格操作疑惑
テザーを巡るもう一つの重要な論争は、仮想通貨市場、特にビットコイン価格の操作に関する疑惑です。
具体的には、ビットコイン価格が下落した後にテザーの新規発行が集中。これがビットコイン価格の上昇をもたらしたという分析結果が示されています。
また、2020年に発表された別の研究では、2017年のビットコイン価格上昇の約半分がテザーによる市場操作による可能性があるという報告もあります。
テザー社は、これらの疑惑を否定し、テザーの発行については需要に基づいていると主張。同社によれば、新規テザートークンは顧客からの要求に応じて発行されており、市場操作を目的としたものではないとのことです。
テザーが暗号通貨市場において中心的な役割を果たしていることを考えると、これらの疑惑はテザー自体の問題ではなく、暗号通貨全体の信頼に関わる問題と言えるかもしれません。
テザー(Tether)のメリット・デメリット

テザー(Tether)のステーブルコインには、他の暗号資産にはない特徴があり、
メリットとデメリットを正しく理解しておくことが投資や利用を検討するにあたり重要といえるでしょう。
テザーのメリット
テザーを利用することで期待できるポイントは以下の通りです。
- 価格の安定性
法定通貨に連動しているため、価値が安定。この特性により、資産を守りたい人の避難先として機能しています。 - 取引の利便性
暗号資産間を法定通貨へ再変換なしで移動できるため、取引の時間が短縮され、変換手数料も節約できます。 - グローバルなアクセス性:
世界中からアクセスができるので、手数料が銀行送金よりも低く、処理も速いケースが多いです。 - ブロックチェーンの利点
価格安定性を提供しながらも、ブロックチェーンの特性を活かし、スマートコントラクトやDeFiでの活用が可能です。 - 取引速度
トロンやソラナでは、取引確認が数秒から数分で完了。従来の銀行送金より速く、リアルタイムに近い決済ができます。
テザーのデメリット
一方で、テザーには以下のようなリスクや注意点が存在します。
- 中央集権化のリスク
テザーリミテッドが発行・償還を担う体制は分散化理念に反し、問題発生時にシステム全体におよぼすリスクが考えられます。 - カウンターパーティリスク
準備金に関する論争が示すように、ユーザーはテザー社の準備金と償還能力を信頼する必要があります。 - 規制の不確実性
規制環境の変化を予測するのは難しく、各国でステーブルコイン規制がきびしくなれば利用を考えなければなりません。 - 競争の激化
USDC、BUSDなどの競合が台頭。さらにMetaMaskが2025年8月までに独自のステーブルコイン「mUSD」(USD連動)を発行するとの情報もあり、差別化を迫られています。 - ネットワーク手数料の変動
ブロックチェーンごとに手数料が異なり、ユーザーはコストと速度をふまえてテザーを移動する必要があります。
テザー(Tether)の今後の影響力や将来性

テザー(Tether)は、単なるステーブルコイン発行者としての役割を超え、デジタル技術を活用して金融サービスの拡大を図っています。
技術革新、投資戦略、規制対応など複数の側面から、テザーの将来性を見ていきましょう。
新規事業と投資戦略
テザー社は現在、事業を4部門(AI、ビットコインマイニング、教育、ステーブルコイン)に再編。多角化をしています。
特に注目すべき投資実績として、次のものを見てみましょう。
- AI企業Blackrock Neutroへの2億ドル投資
- ビットコインマイニング事業Bitdeerへの1億ドル投資
- 動画プラットフォームRumbleへの7億7500万ドル規模の戦略的投資
- スペイン語圏の仮想通貨プラットフォーム Bit2Me への出資
これらの動きは、テザー社が保有する準備金を活用して、ブロックチェーン技術やAI、Web3関連分野への投資が今後も予想されますね。
規制枠組みへの適応
世界各国でステーブルコインに対する規制が急速に整備されつつあり、テザー社はこれらの変化に適応する必要があります。
米国ではステーブルコイン発行者に対する監督強化や準備金の透明性向上が求められ、EUではMiCAR(Markets in Crypto-Assets Regulation)による規制枠組みが導入。
アジア太平洋地域でも、シンガポール、日本、香港などが独自の規制を展開しています。
テザー社は透明性向上のため、四半期ごとの準備金証明の公表や規制対応チームの強化を進めているのが現状です。
技術革新と拡張の展望
テザーの技術的進化も重要な展望といえるでしょう。
その中で現在取り組まれている主な技術革新には以下のものがあります。
- スケーラビリティ向上:レイヤー2ソリューションや新興ブロックチェーンへの対応拡大
- DeFiとの統合深化:スマートコントラクト機能の拡張とより複雑な金融サービスへの応用
- 国際送金サービスの改善:規制に準拠しつつ低コストで高速な送金ソリューションの提供
市場のニーズに応じた技術適応が、テザー社の競争力を左右しています。
とくに利用率が高く開発が活発なブロックチェーンやレイヤー2ネットワークにリソースを集中させる戦略的転換の一環として、
2025年9月1日をもって、Omni Layer、Bitcoin Cash SLP、Kusama、EOS、Algorandの5つのレガシーブロックチェーンでのUSDT(テザー)サポートを終了し、残存トークンを凍結する動きがあります。
まとめ:テザー(Tether)のステーブルコインの利用

テザー(Tether)は、時価総額で第4位の暗号資産へと成長し、ステーブルコイン市場で60%という圧倒的なシェアを誇っている暗号通貨市場において重要な存在となります。
この記事のまとめ
- 3億5000万人以上のユーザーを持つ、世界最大のステーブルコイン発行企業
- USDT、EUR₮、XAUTなど、複数の通貨・資産に連動したステーブルコインを提供
- イーサリアム、トロン、ソラナなど複数のブロックチェーンで利用可能
- 少額決済や国際送金にむいており、高速な送金と低コストの取引が特徴
- 準備金の透明性や規制対応に関する課題はあるものの、仮想通貨の重要なインフラとして機能
課題やリスクがありながらも、テザー(Tether)のステーブルコインは暗号通貨で欠かせない役割を果たしています。
適切な知識と理解を持って活用することで、暗号資産取引や国際送金、価値保存など、様々な用途において効果的なツールとなるでしょう。
仮想通貨を始めるためにはまずは取引所の開設から。
GMOコインのような信頼できる取引所でスタートしていきましょう!
今回の記事は以上になります。
この記事が、あなたがテザーやステーブルコインを理解する第一歩の手助けになればうれしいです。
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